読書感想文その2「鬼平犯科帳(二)」(文春文庫版)
第二巻では、「谷中・いろは茶屋」と「密偵」の感想文を書く予定です。どうやら、私は密偵が中心となるお話が好きらしい。。。
ちょこっと更新。
「谷中・いろは茶屋」
このお話で、火盗改メ同心で、「うさぎ」こと木村忠吾が初登場します。しかも初登場で主役だ。木村さん、なかなか人気のキャラで、レギュラーとしてこれから活躍(?)することになります。女好きで剣術はダメダメという、割りと情けないキャラなのです、たまにいい仕事したりするわけですよ。こーゆう人がいると安心しますね。という見本みたいなひと。
本編でも、谷中にあるいろは茶屋という岡場所の遊女に惚れて通いつめ、親が残してくれた少ない蓄えを使い果たしています。そんな彼が、非番の夜、どうしてもその女に会いたくて同心長屋を抜け出したところ、たまたま盗賊一味の盗人宿を突き止めて、まさに瓢箪から駒(?)の手柄を立てています。
このお話で一番なのは、鬼平様のこの言葉。
「人は、善いことをしながら悪いことをする」
池波先生の、人に対するこの考えは、剣客商売の秋山小兵衛先生も語っています。仕掛人などは、まさにこの言葉を体現しているようなものです。
「密偵(いぬ)」
読みは、「いぬ」です。このお話で、密偵の持つ宿命…盗賊として昔の仲間に会い、盗賊なりの義理と今の生き方の間で苦しみ、昔の盗賊仲間にばれたら殺されてしまう、ということが深く語られています。
このお話で与力の佐嶋忠介さんに注目し始めたワタクシ…第一話から登場している彼ですが、実に渋く、御頭である鬼平様の苦労もよく察して見事なサポート役を務めていらっしゃるのです。感想文その3で取り上げる「昔の男」で、佐嶋様が大好きになったワタクシです。何でかは、感想文その3で。