読書感想文その1「鬼平犯科帳(一)」(文春文庫版)


あちきは、一部地域では時代劇好きで知られておりやす。お気に入りは池波正太郎先生の作品。今年、二月頃からぼちぼち 「鬼平犯科帳」シリーズを読み返しています。もう何度めになるでしょう。人生で、悲しいこと、辛いことに堪える時、行く先を考える時、池波先生の本は私に力を与えてくれます。日々思い惑いつつも、顔を上げて歩いて行こうと思えるのです。
鬼平」「剣客商売」「仕掛人藤枝梅安」の三大シリーズのどれかを読み返すのですが、今回の気持ちは鬼平様。


そしてやっと更新だ。うは。文庫版の(一)から始めます。二十四巻まであるですよ。感想文も長丁場です。
今回は、各巻から、2話くらいずつ、私にとって特に印象深いお話を中心に書いていこうかと思います。全部書いてると、とてつもなく長くなるので・・・

第一巻からは、迷った挙句に「本所・桜屋敷」と「血頭の丹兵衛」の2本を取り上げます。


「本所・桜屋敷」
  鬼平様第二話となるお話。このお話で、親友の剣客・岸井左馬之助や、密偵・相模の彦十が初登場。鬼平様の生い立ちや若かりし頃のエピソードなども紹介されています。
  平蔵と左馬之助が、若い頃ほのかな憧れを抱いたお嬢様が、何と20余年たって盗賊の片棒を担ぐまでに身を落としてしまっていました。平蔵のことも、左馬之助のことも、昔の自分のことも忘れ果ててしまっていたかのような彼女に、苦い思いを抱く平蔵。左馬之助さんなどは、そのお嬢様への思いをずっと抱いて、40歳過ぎの今まで独り者でいたというのとはエライ違いです。
  ラストシーンがなんともいえない風情を漂わせています。桜の季節になると、読み返したくなる一品なのです。


「血頭の丹兵衛」
  第一話「唖の十蔵」で鬼平様に捕まった盗賊「小房の粂八」が密偵になるまでのストーリーです。この先、様々な事件で、鬼平様を助けることになる粂八の、密偵(いぬ、と言われるそうな)としてのデビューです。かなり好きなお話。江戸を荒らしまわる凶賊「血頭の丹兵衛」一味。粂八は、「あれは本物じゃない。本物は、盗人の三か条を厳しく守る方だった」と、「血頭の丹兵衛」の名を汚す(?)偽者を捕らえるため、火盗改メを助けて働くことにします。そして・・・
  想像つく人には想像つきそうですが、はい、実は偽者は本物でした。最後、捕まった血頭の丹兵衛に対し「この偽者め!」と怒鳴る粂八の心情にグっときました。きっと私が粂八でもそう言うだろうなぁ。