読書感想文その6「鬼平犯科帳」(六)

第六巻は、傑作「大川の隠居」が収録されていますが、ここではあえてはずしてます(ていうか、このゆったりとした、なんともいえない雰囲気は、読んで感じて〜としかまだ言えませんな、あちきごときでは)。
そんで、この2作を取り上げることにしました。
  「剣客」
  「狐火」
「剣客」は沢田同心のお話で、「狐火」はおまさが主役です。個別の感想は後ほどに書きますが、「狐火」を読み返して、池波先生って、女という生き物をよくご存知なのだと、改めて感じました。なんというのか、女よりも女のことをよく分かっていらっしゃる・・・


「剣客」
  沢田同心初主役のお話です。沢田さんが、剣を学んだ師匠の敵を討つ、その相手が、なんと盗賊の一味となっていて、事件も未然に防げるという仕掛け。老いた師匠を討った敵も、「剣術使いのなれの果て」で、剣術使いのどうしようもない血が、大事な盗めの前なのに騒いでしまう。「剣客商売」に何やら通じるものがあります。鬼平犯科帳の次は、剣客商売の感想文を書こうと思っているのですが(いつになることやら…)、池波先生の書かれる剣客というのは、どっかストイックな男の世界なんですよね。女には、本能的に入って行けない一線がそこにあるようで、だからこそ、女は一途でどっか純な剣客に惹かれるのかもしれません。
  私が、沢田さんファンになったきっかけのお話でした。